ぐるぐる巻き機4.0号 [1~9]


ぐるぐる巻き機4.0号

[chapter:1 広告]

女性が購入した、雑誌の広告欄に、ダイエットのモニターさん募集の広告を見つける。

その広告には、

「最新型、全身ラッピングエステ」

全身を特殊なラップで包む事による、サウナ効果での発汗作用、新陳代謝の効果によりダイエット&美肌効果を得られます。さらに、最新型なので、スタッフにより手作業での施行では無く、機械により全自動で全身をラップにて包み込むので、ダイエット前の恥ずかしい姿をスタッフに見られる事もありません。最新型なので、完全個室、全自動です。

現在、この最新型機器の体験モニターを募集しております。費用は一切かかりません、体験後に簡単なアンケートにご協力いただければ、わずかですがお給料をお渡しいたします。 お気軽にお問い合わせください。

小林研究所 最新型ラッピングマシーン体験モニター係 連絡先 LINE:○○○○○○○○○

「なんか、とても興味をそそられる広告を見つけてしまった・・・」

「最近、ちょっとだけ、下腹のお肉が気になっているし・・・」

「しかも、エステを体験できて、アンケートに協力すれば、お給料ももらえるなんて・・・」

「広告に記載されている通りなら、人に恥ずかしい身体を見られる事が無いらしいし、何より「全身をくまなく包まれる」その行為自体に興味がある・・・」

私は元々、全身タイツや、ラバーが好きで、自分用のフルボディーのキャットスーツも一着持っているのだが、初めての購入で、ウエストが外人さん基準で作られている事を、届いてから知ってしまって、何とか一度は着てみたものの、ウエストがちょっとだけ、きつかったので破れてしまうのではないかと心配してしまい、着たいけど着れない、そんな状況が、今の現状だったのだけど、この広告、全身ラップされて、痩せる事ができて、お給料もらえて、その後、ウエストが細くなった私が、キャットスーツも着られる様になるなら、完璧ではないだろうか・・・

早々、広告に記載されていたLINEにメーセージを入れてしまうのである・・・

[chapter:2 エステマシーン??]

その後、LINEで何とかやり取りを繰り返して、場所や日時を決め、本日、モニター体験をしに「小林研究所」に足を運んでいます。

「小林研究所」という名前が、ちょっとどうかと思っていたのですが、予想外に都内のビルのワンフロワー(2フロワー)も使っているし、受付もあり、病院の受付兼待合室の様な所もあり、そこで、簡単な内容説明を聞かされ、エステ内容の希望書に、希望内容をチェックしました。

これから体験する、エステマシーンは、まだテスト段階で、モニター試験中との事で、同意書にサインを書き、今は、待合室の下にあるフロワーに案内されている所です。

待合室から、階段で下のフロワーに移動すると、そこはコンクリート剥き出しの床や壁や天井で、まるで地下室の様な作りになっており、ドアもかなり厚い作りになっています。「防音のためだろうか・・・」そんな事を思っていた時に、下のフロワーに案内してくれた女性、名札には「小林研究所 所長:小林」と書かれていて、とてもメガネが似合う女性で、さらに白衣姿もとっても似合う女性が一枚の紙が挟んであるバインダーと、何やら赤く点滅しているスイッチを私に渡して、「それを読んで、書かれている指示通りお願いいたします。」と、ニコッと微笑んで、その一言だけ言って、私のいる部屋から出て行き、重そうな扉を閉めて、その場からいなくなりました。

本当のエステではなく、機械のテストの為の、モニターはこんなものなのかな?何人も何人もテストを繰り返すので、マニアル化されているんだろうと、あまり深く自分の状況を考えず、とりあえず、あの小林と言う女性が手渡した、バインダーと、スイッチを確認してみる。

バインダーには、これからの流れが簡単に記載されているみたいです。

1、本日、着て着た洋服を全て脱ぎ(下着も)カゴに入れてください。

(機械に繊維が巻き込まれる事があってはなりませんので、確実に着衣は全て脱いで、全裸でお願いします)

2、赤く点滅しているスイッチを右手に持ち、いつでもスイッチが押せる状態で持ってください。

(このスイッチは、緊急連絡スイッチとなります。何らかの異常があった際は、すぐに押してください。)

3、先ほど、同意書と共に記載していただいた、エステ希望内容をエステマシーンに設定完了しておりますので、エステマシーン本体の設定ボタン等の操作は不要です。 仰向けの状態で、エステマシーンの白線内に入る様に寝てください。

(エステマシーン本体のスイッチ類は一切触れないでください、すでに設定済みとなっております)

4、エステマシーンの白線内に寝ていただいた後に、センサーが感知して、マシーンが自動起動し、エステ作業が始まります。

5、エステの、希望内容通りの作業が行われた後、マシーンがラッピングを自動カットいたしますので、その後、シャワー室で汗を流していただき、着替えが済みましたら、受付にお戻りください。

※モニター体験者様のプライバシーの為、ビデオカメラによる監視はしておりませんが、エステマシーンはまだ開発段階のテスト機器の為、何らかのトラブルがあった際に、スタッフが対応できない場合が有ると、モニター様に大変ご迷惑をかける事態となります。トラブルに対処できる為に、音声のみ監視させていただきたいと思いますので、緊急なご連絡がある際は、上部にあるマイクに向かって、ご連絡ください。(音声は、録音しておりませんのでご安心ください)

「まぁ、要するに、全裸になって、このボタン(緊急連絡スイッチ)を持って、白線の内側に入るように寝るだけって事ね!!」

さっそく、服を全て脱ぎ、カゴに入れて、スイッチを持ち、全裸の状態でこれから私を包む機械に近づきました。

目の前にあるマシーンは、鉄丸出しで、本当に機械機械している作りです。

おそらく完成の際は、プラスチック等で、見た目をよくするのだと思いますが、私は、逆にこの機械丸出しの方が、なんだか好きです。

その機械丸出しの機器には、先ほどのバインダーに書かれてある通り、機械の上部には、人間の形をした白線が書いてあり、機械の横には、タッチスクリーンが有り、枠には、付箋紙が貼ってあり、「さわるな!!」と書いて有ります。

画面には、私が先ほど受付で希望内容をチェックした通りの設定が、タッチスクリーンの画面に、表示されています。

「ラップを巻く回数」「5回」

「ラップの締め付け度合い」「中」

「施行時間」 「30分」

ここまでが、エステの内容希望書で、チェックしなくてはいけない、私の希望した内容ですが、画面にはさらに・・・

「ラップを巻く場所」 「つま先~首元まで」

「ラップを巻いた後」 「施行時間終了まで、何もせず」

エステ内容希望書には、記載されていない2つの項目が、画面には表示されてます。

「ラップを巻く場所」も、このマシーンは選択できるのかな??

今回は、研究所が指定した、「つま先~首元まで」が、私に施行されるのだろう・・・

各内容が表示されている横には、上下の[↑] [↓]ボタンが表示されているので、「ラップを巻く回数」「5回」の横にある、上のボタン[↑]をタッチすれば「6回」になるのかな??

もしかして、「ラップを巻く場所」の、上下の[↑] [↓]ボタンをタッチすると、「お腹周り」だけとか、「全身」なぁ~んてのあったりして・・・

まぁ・・・ 全身巻いてしまったら呼吸できなくなるんで無理だと思うけど・・・

「あぁ~、全身いいなぁ~」

思わず、無意識に声に出してつぶやいてしまっている自分には全く気がついていないのだが、その声を聞き逃さない一人の白衣の女性がいたのです・・・

「あら、あの子・・・」

「いいわね、いけるかもしれない!!」

私が無意識にそんな事をつぶやいているとは知らず、さらに先ほどの項目の下に表示されている「ラップを巻いた後」の所、「施行時間終了まで、何もせず」に、設定されている場所の横にも上下の[↑] [↓]ボタンがあるので、そのボタンをタッチすると、「施行中に何もしない」以外選択項目があるはずなのです。

どんな項目が出てくるんだろう・・・

 

さすがにこれ以上、変な妄想をすると下半身が大変な事になってしまいそうなので、指示書に書かれていた通り、ボタンを持って、白線の内側に入る様に仰向けでエステのマシーンに私は寝ました。

[chapter:3 起動]

エステマシーンに寝て初めて気がついたのですが、エステマシーンの置かれてある天井には、巨大な鏡が貼ってあり、私自身の全身の全裸がその鏡に映し出されております。

全裸姿なので、ちょっとだけ恥ずかしいのだけど、他の人には見られる事が無いし、それよりも、私自身がどの様な状況になっているか見る事ができるというのは、とっても良いと思います。

感情も無い機械に、淡々と巻かれて、動けなくなって行く私の全身が見れる様になっているなんて・・・

「素敵すぎます・・・」

先ほどのタッチパネルの画面も、鏡に映っており、私が寝た状況を把握しているのか、鏡に映っている文字が逆になる事もなく、きちんと読める様になっております。

そのタッチパネルの方から、コンピュータの女性の声で、「機械が作動いたしますので、機械が動作中は身体を決して動かさないようお願い致します。」と案内があり、画面にも同様の内容が表示されています。

「では、5カウント後に動作開始します。」

いよいよ、私・・・ ぐるぐる巻きにされてしまうのね・・・

「5・・・」(タッチパネルの画面には、「梱包開始まで5秒前」と表示)

「あぁ~ 始まる」

「4・・・」

「始まってしまう・・・」

「3・・・」

「本当に大丈夫・・・でも、でも・・・」

「2・・・」

「こんな経験したらもう元に戻れなくなってしまうかも・・・」

「1・・・」

「・・・・・・・・・・・」

「梱包作業を開始します!」

「エッ? 梱包作業って・・・・」

どうしたの急に・・・

人に対するエステマシーンの言葉では無く、物に対して梱包する業務用の機械の様な言い方・・・

「こ、これじゃあ、まるで私が物のように扱われてしまうみたいじゃないですかぁ~!!

そんな私の考えなんて聞く耳持たず、感情なんてまるで無い、生き物の私を包むのでは無く、物を淡々と包む機械としてエステマシーンが動き始めたのです。

[chapter:4 梱包]

機械が動き始めると、私の足先から、ラップで包まれ始めました。

このラップの色は透明で、すでにラップを巻かれた足先はまだ私の足が見えるほど透明です。

 

「こんな機械に、物の様に扱われながら、梱包されてしまうなんて・・・」

鏡に映っている、ラップ巻きにされてゆく、私自身の姿を見て堪能していると、足先から巻き始めていたラップが首元までくると、ラップの進行方向が変わり、今度は首元から、足先に向け進み始めました。

私は、足元から首先まで完全にラップで包まれてしまいました。

このラップに巻かれて「キツイ」かと言うと、そうでもなく、程良い締め付け具合です。

設定で締め付け具合を「中」に設定した為だと思います。

でも、「もう少し締め付けてくれた方が私好みなのですが・・・」

その様な感じで、全身を包まれている私を、鏡越しに見ていましたが、先ほど首元まで来て、足先に戻って行ったラップが、足先まで戻り、今、私はラップで2重巻きに状態にされてしまいました。

「すごい・・・」「すっごい・・・・・」

だって、だって・・・ 今、私・・・首から下をラップで完全に2重に巻かれて、全く身動きが取れない状況に・・・

透明なラップなので、2重に巻かれても、私の裸体がそのまま透けて見えているのでとても、いやらしく見えてしまいます。

締め付け具合も、1度目より少し締め付け感が増している様に感じます。

こんな感じで、このあと、更に3重巻かれるのです・・・・ 楽しみです・・・ やばいです・・・

ふと、鏡に映っているタッチスクリーンの画面をみると・・・

「ラップを巻く回数」「5回」 と表示されていた場所の表示が  「ラップを巻く残り回数」「4回」との表示に変わっている事に気がつきました。

それ以外の表示は、特に変わっていない様に感じました。

今、ラップに包まれている、エステ体験のモニター自身が、ラップを巻かれる残りの回数が確認できる様になっているのだとちょっとだけ感心したのですが・・・

え~ぇ~、ちょっと、ちょっとまって・・・

もしかすると・・・ もしかすると・・・

私・・・ すごい事に気がついてしまいました・・・

いま、私・・・ ラップを全身に2重に巻かれて、ラップが再び、足先から首元へ向かって3重目を巻き進んでいる所なのですが、タッチスクリーンの表示が「ラップを巻く残り回数」「4回」と、表示されているって事は・・・

もしかすると・・・

私の理解では、ラップの5重巻きになると思っていたので、今、3重目を巻き進んでいるので、タッチスクリーンの表示は「ラップを巻く残り回数」「2回」になっていると思っていたのですが、タッチスクリーンの表示表示は「4回」となっています。

もしかすると・・・もしかすると・・・

ラップを巻く回数というのは、ラップを巻き「重ねる回数」ではなく、ラップを巻く「往復回数」なのではないだろうか・・・

もし、巻き重ねる回数ではなく、往復回数だとしたら・・・ 巻き重ねる回数は10重という事になってしまう・・・

私、もしかして大変な事を、勘違いしてしまっていたかもしれない・・・

私の体に、ラップを10回も巻き重ねられたら・・・

今、3重目を、巻き始めている所で、こんなに気持ちがいいのに・・・

あと、7重巻・・・ 合計10重巻・・・

「アァ~・・・」 「アッ~・・・・」 「・・・・」

[chapter:5 モニター画面を見つめる女性・・・]

モニター画面には、全裸の女性がラップ梱包機で、全身を巻かれている映像が映し出されており、その全裸の女性が少しピクッピクッと、全身が痙攣の様に震えたかと思うと、全く動かなくなってしまいました。

モニター画面を見つめていた小林研究所の小林所長は・・・

「やはり、あの子いいわね・・・」

今まで、エステ体験のモニターとして、この機械を体験した女の子のほぼ全てが、途中で緊急連絡のボタンを押してしまい、終了後のアンケートでは、「巻く回数」が、「巻く往復回数」だと、体験中に気がつき、「これ以上、巻き重ねられると怖くなってしまった為」と、いう様な事が書かれていたのだが、今回の体験モニターの子は、始めてその先を見せてくれる子なのかもしれない・・・

ビデオカメラによる監視はしていないと、体験モニターには伝えているのだが、それは嘘で、小林は隠しカメラを数カ所に仕掛けており、それをモニター画面で現状を監視しつつ、録画までしているのである。

今、モニター画面には、気を失い、全く動かなくなった女性を、梱包機が8重巻き目を、梱包している姿が淡々と映し出されているのです・・・

「まぁ、あの子なら、この先も出来るかもしれない」

「そろそろ、起きて、続きを見せてちょうだい・・・」

そう言いながら、小林がスイッチを押すと、モニター画面上の女性が、少し「ピクッ」と、動いたかと思うと・・・

「アッ・・・」「アッ~・・」「アァァ~・・・」と、言いながら少しだけ身悶えているのです・・・

[chapter:6 気がつくと・・・]

何か全身に、スタンガンを当てられたかの様な電気的な痛みを感じたのですが・・・

私・・・

わたし・・・・

どうやら寝てしまっていた様だと、ふと天井を見ると、そこにはラップで全身をグルグル巻きにされている私の姿が・・・

アァ~・・・

寝ていたんじゃない・・・

気を失ってしまっていたのだ・・・・

そう・・・

3重目を、巻き始めた時に・・・

もう一度、よく鏡を見ると、そこには、すでに何重にも巻かれている私の全身の姿・・・

3重巻目が始まっていた時は、まだ肌の色がわかるくらい透明だったのに、今は薄らと肌の色が見える程度・・・

ラップで何重にも巻かれているので、透明度がなくなってしまっている。

いったい何重に巻かれてしまったのだろうと、タッチパネルの表示を見ると、「ラップを巻く残り回数」「1回」と、表示されている。

今の時点でかなりギチギチに巻かれて、もう、首から下が全く動かせない状態で、ラップで梱包されてしまっているのに、あと、1往復って事は、今8重巻きになっているの??

「アッ・・・」「アッ~・・」「アァァ~・・・」

身悶えながら、もう一度イってしまった私・・・

先ほど、気を失うまでイってしまった後で、今回は、完全に意識を失うまでいかなかったのですが、そんな私を容赦無く機械が梱包作業を続けています。

2度も連続でイってしまった為か、少し気持ちが落ち着く事ができ、この梱包機(エステマシン)の動作をよく見る事ができる様になりました。

今は、8重巻目が終わり、最後の1往復が始まる所で、再び足先から、首元へ向かいラップが進み始めています。

速度は、人間が手作業で巻くよりは少し早いのではないかな?って程度の早さで、巻き方も人間ではできない、機械ならではの正確な巻きで進んでおり、締まり具合も一定の締り具合で、場所によってキツくなったり緩くなったりする事なく、こちらも機械ならではの均一の締り具合です。

最後の1往復が終われば、巻く作業は終わりますが、エステマシーンなので、ラップを巻くのはエステ作業の一工程であって、エステ本来の効果は、ラップされてからの発汗や、余分な脂肪の燃焼等なので、ラップを巻いた後が、重要なのかもしれません。

タッチパネルに表示されている、「施行時間」 「30分」の表示は、今現在ラップで梱包している作業中は、1分も減る事がありません。

おそらく、エステマシーンなので、ラップでの全身梱包が終わってから「30分」なのだと思います。

もう1つ、タッチパネルに表示されている、「ラップを巻いた後」 「施行時間終了まで、何もせず」と、表示されているので、私を10重にラップで梱包した状態で、30分もそのまま放置されてしまうのかと思います。

ちょっと落ち着きを取り戻せたおかげで、あらためて、私の今置かれている状況を再確認する事ができたのですが、こんなことを考えている時でも、機械は動き続けているので、ラップはすでに足先から、胸元まで移動してきており、首元まで来れば後は、足先まで戻るという状況なのですが・・・

「バキッ・・・」

なんか、物が折れる様な音がしました・・・

大きな音ではないのですが、ラップを巻いている以外の音だったので、はっきり耳に届いたのです。

何の音だろう・・・

特に、ラップの機械は変化が無く、おかしな挙動や、止まる事も無く、そのまま私を包む作業を続けているのですが・・・

続いてる??

そうなのです、続いているのです。

何が続いているかと言うと、包む作業です。

そうです、あたり前です、包まれる作業中なのですから・・・

でも、それが続いてはダメな所まで続いてしまっているのです・・・

[chapter:7 アクシデント]

「バキッ・・・」という、小さな物音の後、胸元から、首元まで来ていたラップが足先へ戻る事無く、そのまま進んで来たのです。

本来なら、最後の1往復なので、首元まで来たら、足先へ戻って包む作業は終わりになるはずなのですが、首元を通り過ぎてそのまま進んで来ているのです。

このまま進んでくると、顔を通り過ぎ、頭の上まで、完全にラップで巻かれてしまいます。

「どうしよう・・・」

「このまま、全身巻かれてみたい・・・」

「でも・・・」

「顔も巻かれてしまうと、呼吸ができなくなってしまう・・・」

「でも・・・」「でも・・・」

今まで、巻かれている所には一切隙間が無く、規則正しく正確に巻かれているので、おそらく口元も完全に隙間無く塞がれてしまう。

こんなに危険な状況に置かれているのに興奮してしまっている、わたし・・・

もう、ラップは首元を過ぎ顎まで来ている、考えている余裕はもう無い。

私は、呼吸を整え、いつもより多く空気を肺に送り込んだ・・・

・・・・・・・・・

・・・・・

・・

ラップは、止まる事なく進んで来る・・・

 

やがて、ラップが、呼吸を止めた口元まで来た時、私は「口を大きく開き、口が開いている状態で巻かれてみたい」と、なぜか、咄嗟に思ったのです。

そして、ラップが、目元まで来た時には、「瞼を閉じずに巻かれたい」と、思っていました。

瞼を閉じてしまうと、今、私がされようとしている、全身拘束状態を見る事ができなくなってしまうと思ったのです。

鏡には、完全に梱包されてしまった私の全身姿、しかも、口を大きく開いたままの私が写し出されています。

ラップの機械が、梱包作業を終えると思っていたのですが、頭の上まで完全にラップで包み終えたラップは、進行方向を逆転させて、今度は足先へ進み始めたのです。

そうなのです、私が勝手に頭の上で終わると勝手に勘違いしていたのです。

足先からスタートして、足先まで戻って1往復(一回)なのです。

まだ、足先へ戻る梱包が残っていたのです。

すでに、息を止めて少し苦しい状態です。

でも、ラップが足先まで戻るまでは、我慢できると思ったのです。

だって、だって、見て見たいじゃないですが物のように扱われ、ラップ梱包され身動きできなくなって、呼吸までできない状態になっている私自身を・・・

[chapter:8 押しボタン]

ラップの機械で、10重に巻かれてしまっている私、しかも、顔にも2重に巻かれ、足先から、頭の先まで完全にラップで巻かれ、全く身動きができない状況になっています。

こんな状況になっているにも関わらず、私が危機的状況より快楽を選んでいるかというと、そうではないのです。

私には、この危機的状況を、なんとかできる方法を知っているから、あまり焦りを感じていないのです。

私の手には、案内の指示通りに、持っている、ボタン(緊急連絡スイッチ)があるのです。

このボタンを押せば、大丈夫。その為の、ボタン(緊急連絡スイッチ)なのです。

今は、ラップ巻き作業が終わり、機械音も無く、シーンと室内が静まりかえっています。

さすがに、止めていた息も苦しくなって来たので、肺に溜めていた空気を吐き出そうと・・・

空気を吐き出そうと・・・

あれっ・・・

吐き出すことができません・・・

 

口を開いた状態のまま、ラップで2重に巻かれてしまっていますが、ちょっとした隙間などから、呼吸ができるのではないかと考えていたのですが、どうやら私の考えは甘かったようです。

 

慌てて、さらに肺に力を加えて、空気を吐き出そうとしたのですが、私の口元にあるラップは、空気に押されて膨らんだりする事も無く、微動打にする事なく、私の口を開いたままラップされています。

 

どうやら、肺に貯めておいた空気を吐き出す事が出来ないようです・・・

この時、さすがに「これ以上はヤバイ」と思い、手の中にあったボタン(緊急連絡スイッチ)を押したのです。

ラップ巻きの作業が終わっている室内は、物音が全くありませんので、ボタンを押した後に聞き覚えのある声、そう、私を案内してくれた「小林」という女性の声が鮮明に聞こえて来たのです。

「どうかされましたか?」

小林という女性が尋ねて来ました。

私は今、口元まで塞がれて苦しい状況を伝えようと思ったのですが、声が出ません・・・

小林という女性は、私が居る部屋に直接来たのでは無く、どこかの部屋からマイク越しで話しているようです。

病院のナースコールのような仕組みだと、私はこの時、理解しましたが・・・

よく考えると、ビデオカメラでの監視はしておらず、音声のみの監視だと、案内書に書かれていた事を思い出しました。

と、いう事は、この危機的状況を小林という女性は、映像では監視していない。

緊急な出来事があった時は、音声のみで監視しているので、今、言葉を発する事が出来ない私の、この状況を伝える事が出来ない・・・

もう、終わった・・・

こんな危機的状況になってしまっている、私・・・

心のどこかで、このような体験を望んでいた、私・・・

私自身の命までかけて、被虐体験し、こんな結果になっている、私・・・

「・・・さん、どう・・・・か?・・・」

小林という女性が何か尋ねてきているようだが、苦し気持ちよすぎて・・・

もぅ・・・

[chapter:9 エピローグ]

小林研究所の小林所長が、その部屋に入ったのは、ラップ巻きエステマシーンのモニター体験者を案内してから、40分以上経過してからだった。

部屋の中には、全裸の女性が、足先から、頭の上まで完全にラップで梱包された状態で横になっている。

ラップで梱包されている女性は、口は開いた状態で、瞼も閉じてはおらず白目で、全く動きがない様に見えるが、かすかな呼吸はしている。

「あなたに巻きついているラップは、私が作った特殊なラップなので、空気が通るんだよね・・・」

「ただし、空気がラップを通過するには、緩やかな呼吸が必要で、荒い呼吸の場合は空気が通らないの・・・」

「焦れば、焦るほど、呼吸は荒くなるので、全くこのラップは空気が通過できなくなっちゃうんだよね!!」

「ごめんね・・・」

「でも、失神してしまっているあなたは、今、呼吸ができているの、安心しなさい。」

「こんなに、喜んでもらえるなら、また体験しにきてくれるかしら・・・」

そう言いながら、ラップの一部を、ハサミで切る作業を開始したのです。

おわり

 


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