全身銀色ソフビ娘 1.1

[chapter:9 バラバラ]

どのくらい経ったのでしょうか・・・
いったい私は・・・
確か・・・ 全身を銀色に塗り終え・・・・

周りを見渡すと、何も見えない・・・どうしてだろう・・・
そうだ、眼にまで、銀色に塗ってしまったから何も見えなくなってしまっているのだ・・・
でも、確か、片目だけに塗ったので、もう片方の眼で見る事ができるはずなのだが、今の私の視界には何も写っていません・・・

どういう事なんだろう・・・

私は、ちょっと体を動かそうと思い、力を加えてみたのですが、どうやら、私の体はまだバラバラになっているらしく、思った通りの動きをしてくれません。

私の体が少しガサガサ動いているのを見つけたのか、私が体を動かしてから、すぐに、小林さんの声が聞こえてきました。
「起きたのかな?」
「今、ちょっと移動しているから、もう少し待っててね!!」

「い? 移動??」
「確かに、乗り物に乗っているみたいだった・・・」

「眼で見ても、何も見えないのだけど、全身の感覚や、周りの音を聞くと、どうやら私は、バラバラの姿のまま、箱などに押し込められて、乗り物に乗せられて、何処かに運び出されているらしい・・・」

いったい何処に運び出すというのだろう・・・
バラバラになって、しかも全身銀色に染められて・・・ さらには、体の内側までもが銀色に染められてしまっている私を・・・

[chapter:10 廃棄]

「到着」と言う、碇さんの声と共に、車のドアが開く音・・・
そして、私の体が「ふわり」と浮かぶ感じがした途端・・・
ドサっと、地面に落とされる感じ・・・

どうなっているのか・・・?
困惑していると、徐々に視界が戻り、今、私自身の状況を把握できるようになりました。

今の私自身は、段ボール箱に詰められ、その段ボール箱の上部が開いている状態で、中に入っている私自身の身体が外からでも見えるようになっており、普通に知らない人が見たら、銀色のマネキン人形がバラバラの状態で、段ボール箱に詰められ、廃棄してある状況に見えるかと思います。

「廃棄?」
そうなんです、私が詰め込まれている段ボール箱の周りには、大量の廃棄物があり、おそらく違法に捨てられた廃棄物だと思います、その廃棄物の一部に、私自身がなってしまっているのです・・・

何故、このような状況が把握できるのかと言うと、碇さんか、小林さんが、私の銀色を塗っていない眼を、私が廃棄されている姿が見えるような位置に置いてくださったからだと思います。

程なくすると、私の視線の隅に写っていた自動車の後部が見えなくなってしまいました。
碇さんと、小林さんはその車に乗っていると思われ・・・ 自動車の音も聞こえなくなって、辺りは静まり返ってしまいました。
この時、完全に私は、廃棄されてしまったのだと思います。

全身を銀色に塗られ、さらに、体の中までも銀色になり、この状態だけでも、すごいのに、さらに体をバラバラにされて、ダンボールに詰め込まれ、大量の不法廃棄物の中に捨てられ・・・
こんな、絶体絶命な状況を悲しむわけではなく、逆に喜んでいる私・・・

この与えられた状況を、もう少し・・・
あと少しだけ楽しもう・・・
もう、ほんの少しだけ楽しんだら、なんとかしなくては・・・
でも、もう・・・なんともならないのかもしれない・・・

= 一年程放置して、追加の文章がこれだけで申し訳ないです・・・ =
= なるべく早めに、続きを投稿できれば・・・・と、思っています。=


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