弥生ちゃん [7.身体の一部を塗装・・・]


「じゃあ、そのままの服を着た状態で、今日履いてきた靴を履いて、そこに立ってください」って指示され、言われるがままに靴を履き、指定された所に立つと、透明な液体をスプレーガンの銀色の容器に全部入れて、碇監督さんが、いきなり、わたしにスプレーし始めたのです・・・

私服姿のまま、固められるのわたし?・・・
まだ、なんの説明もされていないのだけど・・・ でも・・・ すべて説明されてからよりは、この方がわたし好み・・・
そんなことを考えていたのですが、塗装作業は、あっけなく5分もかからずに終わりました。
透明な液を塗装されたのは、首から下で、スカートの中にもまんべんなく、塗装されましたが、首から上はまだ塗装されていないのですが、特に何らかの変化があるわけでもなく、透明な液が固まって動けなくなる、と、いうこともなく、普通に手足が動くし服も特に変化がありません。
透明な液は、皮膚や服に塗装されても、なんの変化も無い様です、本当に塗装されているかもわたし自身わからなくなってしまうほどです。

「さすが、業務用の塗装に使う機械なので、作業が早くて楽でいいや、弥生ちゃんは、大丈夫? なんか身体に不都合は無いかい?」
「はい、大丈夫ですけど・・・ わたし普通に動けますが・・・」
「まぁ、まぁ、焦らない焦らない、これからが凄いんです!!」
そう言いながら、碇監督さんは、後ろで、塗装用のタンクの空気弁を閉めている小林さんから、何か受け取り、それをわたしの右の手のひらに向けてスイッチを入れながら、「これは、懐中電灯の形をしるけど、普通の懐中電灯では無く、紫外線がでる電球が入っていて、この紫外線を先ほど塗装した透明な液に当てると・・・」

わたしの右手に向けられている紫外線が出る懐中電灯と、自分の右手を見ていましたが、紫外線なので、目に見えるわけでもなく、一分間ほど照射されて、照射は終わりましたが、特に何らかの変化が・・・
そう思った時に、その変化が始まりました。
わたしが、望む変化・・・
そう、硬化が始まったのです。

わたしが望む硬化、一瞬で固まるのではなく、徐々に固まるこの感じ、好きです、大好きです。 やはり、碇監督さんはわかっているんですね、わたしの好きなシチュエーションを・・・

そんなわたしの姿を見て、先程まで、後ろで片づけをしていた、小林さんが近くに来て話しかけてきました。
「どんな感じ、徐々に固まるのは・・・」
「わたしも、実験段階で経験済みだからわかるけど、一瞬で固まるのって面白味が欠けるのよね・・・ 徐々に固まっていく自分の姿を見る事が出来たり、妄想や「オナ・・」する時間がほしいと思うわけ、だから、紫外線を浴びた後に、5分ほどかけて固まる様に設定しているから、完璧に硬化するまでは楽しめるわよ!!」

この小林さんという人は、碇監督さんのただのお手伝いさんかと思っていたが、どうやら、わたしと同類らしい・・・ そんなことを考えている間にも、硬化が続き、わたしの右手の指が徐々に動かしづらくなり、手首から先がまったく動かなくなってしまいました。
指が普通に伸ばした状態で固まってしまったので、右では、もう物が持てなくなってしまっています。
固まってしまった右手は、本当にカチンコチンで、目の前にあったビデオカメラの三脚を軽くたたいてみると、「カン、カン」と、木のバットではなく、金属バットのような音が鳴ります。

やばいです、本当にやばいです・・・
右手首だけでこんなに嬉しいのに、わたしの全身には、今、この塗装がされてしまっているのです、どうしよう、やばいです、やばいです、全身が固まったらわたし正気を保っていられるでしょうか・・・


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