弥生ちゃん [12.告知]


私が、固まってしまって、全く動けなくなった状態になって、すぐに二人の姿が、見えなくなってしまって、すでに10分間位、放置されてます。
あっ・・、碇監督さんがわたしの前にやってきました。
なにやら、新聞チラシの裏みたいな紙を、わたしが見える位置に合わせています。
その紙には、「ごめんね!! 僕知らなかったんだ、耳まで聞こえなくなる事、でも、問題は無いから安心してね!!」と、書かれています。
どうやら、私の聴覚まで失われてしまった事実に気付いてくれたみたいです。
わたしは、「大丈夫です、けど、ちゃんと元に戻るんですよね!!」って、言おうと思ったのですが、出来ないんですよね・・・ 口の中まで塗装され、固められてしまっているので・・・

碇監督さんが、次の紙を見せてくれました。その紙には、衝撃的な言葉が書かれていました。
「弥生ちゃんごめんなさい、今日の塗装した、固まる透明塗料なんだけど、小林が間違って、まだ研究中の固まった後に、元に戻すことが出来ない塗料を使ってしまったみたい・・・ ごめん・・・」
私の視界の前にいる、猪狩監督さんがぺこりと頭を下げ、その横に、小林さんが現れ、頭を下げた・・・

「えぇっ〜・・・!!」と、言葉に出したいのですが、何一つ動かせないし、伝える事が出来ません。

私はものすごく動揺して・・・います・・・。

「じゃあ、このまま、わたし・・・戻る事が出来ないの・・・」
「人間終了じゃないですか・・・」
「まだ色々経験したい事もあったのに・・・」
「こんな、マネキンの様にされてしまって、私・・・わたし・・・ワタシ・・・」

「・・・・」

「・・・・・・・・・・・。」

「・・・・・でも、私は、これを期待していたのかもしれない・・・」

「碇監督さんなら希望を叶えてくれるのではないかと、思っていたけど・・・・、ここまでやっちゃう人だとは・・・」

「本当に、もう戻る事は、出来ないのか、嘘なのではないか?」
「そう、私を喜ばせるための、嘘なんじゃないかな?」

そんなふうに、考え出すと、このシチュエーションは、わたし好み過ぎてたまらない!!

でも、私のそんな希望は、簡単に裏切られてしまった・・・


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