弥生ちゃん [13.投棄]


しばらく二人の姿が視界から消え、また、何か書かれた紙を持って、碇監督さんが私の視界に現れました。
新しい紙には、こう書かれています・・・

「小林と相談したのだけど、弥生ちゃんを、このままの姿で家に置いとくのは、じゃまだし、後々、色々な問題が出てくるので、弥生ちゃんには申し訳ないけど、今日の事は、無かったという事にさせてもらいます。」

「なに?なに? ちょっと理解できないんですけど・・・」

・・・・さらに、紙には、続きが書かれており、
「弥生ちゃん自身が、今日ここに来ていない、そんな事にしたいので、ここに今、弥生ちゃんがいると不都合なんで、処分させてもらいますね!!」

「えっ・・・・ えぇぇ〜」
「しょ、処分ってどういうことですかぁ〜」

などと思っていても、口にする事、体で表す事の出来ない、私の、気持ちを、一向に伝える事が出来ない状態のまま、急に身体が「フワッ」と、浮いたのです。

私の、固まった身体を、碇監督さんと、小林さんが二人で持ち上げて移動しはじめたみたいです。私には、天井を見ている事しか出来ず、なんの抵抗も出来ません。
視界に映るのは、天井でしたが、やがて青空になり、どうやら私は外に連れ出されているみたいです。
ふたりは、本当に私を処分する行動を取っているみたいです。

「私、固められて、身動きの取れない状態で、外に運び出されてしまっています・・・」
「す、すっごいぃ〜 ・・・」

それからすぐに、何か、毛布の様な物が牽いてある所におろされたかと思うと、ちょっとした振動が、身体に伝わってきました。
そうなんです、私を、本物のマネキンの様に、物として車の荷台に放り込み、その車が走り出したのです・・・

「私、ほんとうに、本気で処分されてしまうんだ・・・・。」

「・・・・。」
「・・・・・・・・・。」

どれくらい経ったでしょうか・・・。
私的な気持ちでは1時間以上、荷台に放置されている気分なのですが、実際は、15分位だったかと思います。
車が、バックしたと思ったら、すぐに止まり、その後、また私の身体が持ち上げられたかと思うと、頭と、足を二人で持ち左右に振り子の様に揺らしたかと思うと、その勢いのまま、おもいっきり放り投げられ、私が空中を飛んでます。

その様子は、まるで、マネキン人形を空中高く、遠くに放り投げる様に、碇監督さんと小林さんが、私を物の様に放り投げたのです。

「ゴン、ガシャン、ガラガラ・・・」など、すさまじい音が響いたと思うと、私の身体の周りには、冷蔵庫、洗濯機、テレビや、家電類等の、壊れてしまった物に囲まれていました。

幸いな事に、斜め上を向いた状態で止まってくれたので、何となくの状況がつかめました、そこは、産業廃棄物等の不法投棄現場で、穴が掘られており、おそらく、有る程度いっぱいになったら、土をかぶせてしまうのではないかと・・・

私は、今、その産業廃棄物の中に捨てられてしまったのです・・・

「本当に、処分される・・・」
「私、本当に、マジで処分されてしまうみたいです。」

私の、目線の先には、私が捨てられた産業廃棄物の穴の中を覗く、碇監督さんと小林さんが、申し訳そうに頭を下げ、その後、私に手を振っていなくなってしまいました・・・

私が、望んだ固まる行為だけど、マネキンとして、展示したり、ちょっとした羞恥を期待したのだけど、まさか、固められて元に戻る事が出来ず、捨てられてしまうとは・・・

「でも、本当は、これを望んでいたのかもしれない・・・」
「こんな最後を、私は・・・わたしは・・・」

「んっ・・・・んっ・・・・!!」
「・・・・・・っ・・・・!!」

そのまま、今まで味わった事がない最高の絶頂を迎え、意識を失ってしまったのです・・・・。


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